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導入事例 Shinkin International Ltd. 様

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Shinkin International Ltd. 様

IIJロンドンデータセンター内のAS400マネージドサービスを活用したシステム管理体制の効率化

プロジェクト概要

ロンドンを拠点としているShinkin International Ltd.(以下、Shinkin International)では、自社で保有していた本番環境および DR環境のコンピュータ・システムの老朽化と更改が課題となっていた。
そこで、メイン機器の更新に合わせて、IIJデータセンター内のAS400マネージドサービス(以下、AS400 マネージドサービス)を導入して、機器の障害発生率を低下させるとともに、メインサーバを自社のサーバルームからデータセンターへ移設することによって、システム環境のセキュリティ強化を実現。
さらに、障害発生時、IIJ Europe Ltd.(以下、IIJ Europe)がワンストップで保守業者とのやり取りにあたるというサポート体制を確立することで、復旧作業の効率化を図った。

導入までの課題

  • 機械の老朽化によるトラブルの頻発化
  • 障害発生時に費やす工数の増加
  • 通常業務への圧迫、時間外勤務の増加

導入後の効果

  • 機械のバージョンアップによる処理速度の改善
  • ワンストップのサポート体制による障害対応工数の減少
  • 時間外勤務の削減による社員への負担減

導入前の課題

機器の老朽化とシステムトラブル

Shinkin Internationalは、オフィス内のサーバルーム(オンプレミス)に1台と、バックアップサイトに1台、コンピュータ・システム(AS400)を保有していた。いずれも導入から相応の年数が経過しており、システムトラブルの発生や、処理速度の低下など、老朽化の影響が随所に現れていた。その一方で、近年、同社のビジネスの取り引きは大幅に拡大しており、いかに効率的にシステム管理体制の問題を解決すべきか、検討が続けられていた。

当時の状況について、Managing Directorの河島航一氏は次のように語る。
「当社が保護・お預かりしているお客さまの資産処理を適切に実行することは当然であり、システムトラブルの頻発化は正規のサービス提供にリスクをおよぼす危険性を高めるため、早急に解決策を見つける必要がありました。しかし、トラブル発生原因は多様であり、問題の切り分け、交換用部品の調達、エンジニアの作業などに時間がかかり、復旧が思った通りに進まないことも考えられます。交換部品の一部は新規製造が終了しており、中古市場に依存せざるを得ない状況でした。また、いったんトラブルが解決しても、しばらくすると同様のトラブルが発生することがあったため、システム更改を前倒しし、業務運営の安定化を図ることにしました」。

さらに、実際のトラブルシューティングについて、Directorの谷岡正史氏はこう語る。
「システム保守に関しては、複数の業者と取り引きがあり、障害発生時は当社の担当者が各社と連絡を取りながら問題を切り分けなければならず、解決までに相当の手間を要していました。今回のスキームの検討にあたっては、システムの修理費やエンジニアの手配などにかかる費用の削減はもちろん、従業員の対応時間を減らすということも大きなポイントの一つとして考えておりました」。

解決を実現するスキームの構築へ

クラウドサービスの活用に向けた要件

IIJ Europeのサービスを採用した理由について河島氏はこう語る。
「さまざまなサービスを調査した結果、メインシステムは、当社事務所ではなく、IIJ Europeのデータセンターに設置(オフプレミス化)して、専用線およびインターネット環境を通じて利用し、バックアップについてはクラウドサービスを活用するのが最適であるという結論に至りました」、「東京に拠点を置く IIJの『IIJ GIO Power-iサービス』なども検討しましたが、英国で規制業務を営む当社が、国外にサーバを置くことには懸念もあったため、最終的にロンドンでクラウド環境を持つ方向としました。クラウドをベースとしたサービスは他のシステム業者からも提供されていますが、これまでに築いてきた信頼関係や、日頃のサービス提供の安定性なども考慮して、IIJ Europeのサービスを採用することにしました。IIJ Europeなら物理的距離も近く、営業担当の方とも日常的に相談できる間柄だったので、当社システムの経緯や実情をよく理解してくださっているという点も採用に至った理由の一つになりました」。

サービスの導入にあたって

固有のビジネス・リスクを検証する

導入するサービスの内容については、IIJ EuropeとShinkin Internationalの間で綿密な情報共有が行われた。プロジェクトの始まりから終わりまでのプロセスについて谷岡氏は次のように語る。
「十分に満足のできるタイムスケールで進行できたものと思っています。自分達で今回のシステム更改、とりわけクラウドの活用に関するリスクを洗い出し、その解決策を検証していくことは大変でした。クラウドサービスが一般化してきている中で、メリットに注目する情報は多いものの、どのようなデメリット、リスクが潜在するのか、特に当社のビジネスに固有のリスクは何かということに関しては、なかなか参考にできる事例がありません。このため、非常時の各シナリオについて納得のいく検証工程を策定することに時間がかかりました」。
「一般に、ユーザー側の意図と設計側の意図が合致しないことはよくありますが、今回のプロジェクトについては、我々のニーズをIIJ Europeにきちんとお伝えすることができたようです。的確なアドバイスをいただくこともでき、今振り返っても過不足のない検証を行うことができたものと思っております」。

導入の効果

新システムの導入で効率的な管理方法を実現

AS400 マネージドサービスを導入した効果を河島氏はこう語る。
「機器のバージョンが新しくなったことで、月次処理の所要時間が以前の1/3になるなど、処理スピードが格段に速くなりました。もっと早くに手をつければよかったですね(笑)」。「更改後は大きなシステムトラブルに見舞われていませんが、稼働確認の際に復旧テストを繰り返し行なったので、緊急時対応のイメージはできており、実際の障害時にも以前よりスムーズに切り替えができると確信しています」。

トラブル対応の窓口を IIJ Europeに一本化するマネージドサービスの効果について、谷岡氏はこう語る。
「当社はシステム専担者を置く規模の企業ではありませんので、更改前のトラブル発生時は、業務の担当者が各業者に問い合わせて、解決策を自分たちで見極める手間が必要でした。エラーの発生原因がどの程度深刻なものなのか、瞬時に判断するのは簡単ではありませんし、どの業者が解決できるか時間をかけて考えることは、我々の通常業務を阻害する要因となっておりました。今は IIJ Europeに連絡を入れれば、問題解決に向けて動いてくださるので、トラブルシューティングに割く手間が我々の手から切り離されました。結果として、昨年度比で担当グループの残業時間が大幅に減ったほか、他の業務の効率化にも着手でき、より適切な業務運営になったと思います。また、マネージドサービスとしたことでシステムのモニタリングが強化され、トラブル解決に要する時間を劇的に縮減できていることも、担当責任者としては心強いです。さらに、同じタイミングで IIJのIPサービスに切り替えましたが、こちらもWEBブラウジング速度が大幅に改善されたことにより、業務の効率化につながっています」。

今後について

今回の効率化を活かして前向きなことに時間を費やす

今後の展望として河島氏は次のように語る。
「社員の皆さんが後ろ向きの対応に忙殺されるよりも、新たな業務への対応や既存の業務効率を改善していくことを考えてほしいし、それが社員の満足度にもつながると考えています。今回のシステム更改で後ろ向きな作業時間を削減できたことにより、各職員にも時間、心理の両面で余裕が出てきたようです。残業時間も減少した上に業務担当職員から新しい提案が出てくるようになり、私も嬉しく思っています。加えて、オフプレミス化によりシステムセキュリティを向上できましたし、将来的には当社内のサーバールームの廃止、オフィス移転費用の圧縮などの効用もあります。今後も、事務所、DRサイト以外からのアクセスの検討、情報漏洩リスクへの対応等の課題がありますが、今回実現した効率化策を一つの成功事例として検討に生かしていきたいと考えています」。

システム構成図

システム構成図

お客様プロフィール

Shinkin International Ltd.

所在地
85 London Wall, London EC2M 7AD

事業内容
債券の引受、売買を主たる業務とする証券会社。

会社概要
Shinkin International Ltd.は、海外における証券業務の拠点として、1990年10月に信金中央金庫の100%子会社として設立されたロンドン現地法人。

サービス導入先ご責任者
Managing Director 河島 航一氏
Director 谷岡 正史氏

[写真] Director 谷岡 正史氏

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